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強制調査と任意調査

税務調査は、目的や対象、方法、あるいは時期、内容によっていくつかに分けられます。


たとえば、よく耳にする「マルサ」は、「国税犯則取締法」という法律に基づいて行われる「強制調査」の俗称です。

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これは、税務調査としては特殊なもので、「査察」といいます。悪質な脱税に対する一種の犯罪捜査であり、告発、つまり裁判にかけるための臨検や捜索、差押えを目的としています。したがって、通常の税務調査とは異なります。


通常の税務調査とは、「任意調査
 」を意味し、特に「実地調査」を指します。しかし、任意といっても、調査に応じなかったり、妨害などをすると、刑事罰が課せられますから要注意です。また、「任意調査」は「実地調査」と「準備調査」に分かれます。 


実地調査の準備をするのが、正しく準備調査です。これは調査対象となる企業の問題点や重点的に調査すべき項目を判断したり、実地調査をするかしないかを決めるためのものです。


納税申告者が提出した申告書などの書類を、あくまでも机の上で調査する「机上調査」を行い、必要ならば、調査対象の立地条件等の概要をつかむために「外観調査」を行ったりします。


準備調査で次のチェックを行い、どのような実地調査を行うかが決められます。


① 毎年のように更正・決定を受けてきている
② 大きな売上脱漏や仕入の架空計上をしたことがある
③ 税法に疎く、同族関係者によるワンマン経理が行われている
④ 役員の金銭感覚にあまりケジメがなく、公私混同の経理をしている
⑤ 経費の水増しをしたり、個人の費用を会社の費用にしたことがある
⑥ 各年の所得にムラがある
⑦ 相続・贈与の申告もなく、他に特別な収入もないのに高価なものを取得している
⑧ 売上の前年比が著しく高いとか、申告所得の伸びが著しい
⑨ 好況な業界で、これまでの税務調査で、経理部門が弱いとされている


実地調査では、調査官が実際に調査対象者を訪問して、さまざまな質問をしたり各種の書類などをチェックします。この実地調査が、企業でいわれている税務調査なのです。実地調査は、状況に応じて以下のように分類されます。


一般調査 提出された申告書が税法の規定どおりに処理されているかどうかを最終的にチェックするためのもの。帳簿調査が中心であるが、調査官が必要だと考えれば倉庫や工場などの現場確認調査も行われる。
現況調査

強制調査ではないが、抜き打ちで行われる半強制的なもの。

タレこみなどによって事前に情報をつかみ、悪質だと判断されると予告なく行われる。ロッカー、事務机、金庫からゴミ箱まで調査される。

反面調査 調査対象者の売上先、仕入先、取引銀行等を調査するもの。申告書の不審点や不明点を明らかにし、証拠として裏付けを取るために行われる。
特別調査 一般調査だけでは不十分と判断されると、特別調査班という調査のプロがチームを組んで厳密に、より細かにわたって行われる調査。調査日数に制約を設けない。脱税の疑いが濃い場合に行われる。
総合調査 単独の実地調査では解明できない事項について、グループ系列企業などを選定して行われる。代表者グループの相続税調査に関連して税目横断的な調査を行う。


 

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その他の「税務調査の基礎知識」についてはこちらです。


・強制調査と任意調査
・税務調査の受忍義務
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